はるばる愉快なところへ来たもんだ、よくよく目玉を凝らしておこう。中村勘九郎、中村七之助、尾上松也の「三人吉三」稽古初日。最初の本読み。勘九郎演じる和尚吉三が飛び込んでお嬢吉三とお坊吉三の争い事を治めるところで熱くなる。心意気。血を繋(つな)ぐものの覚悟がずばりと見えた。
さて、まだ新しく濃厚なこの記憶。とても一度で書き切れない。次回へ続く。(演出家 長塚圭史/SANKEI EXPRESS)
■ながつか・けいし 1975年5月9日、東京生まれ。96年、演劇プロデュースユニット「阿佐ヶ谷スパイダース」を結成。ロンドン留学を経て、新プロジェクト「葛河思潮社」を立ち上げた。9月に葛河思潮社の第4回公演『背信』(ハロルド・ピンター作、喜志哲雄翻訳、長塚圭史演出)を上演。出演は松雪泰子、田中哲司、長塚圭史。