ラモーナは「野性児」とでもいうべきやんちゃな女の子で、本好きでまじめな姉、ビーザスを困らせてばかりいる。たが、私はつらい目に遭っても自分の信念を曲げないラモーナの強さに憧れたのだ。
取材の最後、私がそう言うと松岡さんは「子供らしい子供を描いていると思うの。(作品が書かれた)1950年代のアメリカというのは、とても明るい時代だったから、子供の本もやっぱり明るいのね。『将来は明るいんだ』と思えるような。今の日本ではああいう本は書けないかもしれないわね」と、子供たちに向けるのと同じような優しい笑顔で話してくれた。
今の日本にも、もちろんすてきな児童小説はたくさんあるだろう。だが、ラモーナのような女の子は確かにあまりいなくなってしまったのかもしれないと感じることがある。
子供の頃に読んだ本というのは、不思議にいつまでも覚えているものだ。読み返したら、忘れかけていたものを取り戻せるかもしれない。もう一度ラモーナに会いに、本を読み返してみたくなった。(戸谷真美/SANKEI EXPRESS)