アイデアは真空断熱材の使用面を増やして接着剤となるウレタンを極力少なくすることで、断熱性能はそのままで薄型化を図ろうというものだった。これで従来の厚さに比べ大幅に薄くすることが可能になったが、問題は薄くなった分だけ製造にあたってのウレタンの扱いが難しくなることだった。
使いやすく工夫
大矢課長は「曲面の部分を含め、いかに全体を覆うかがポイントだったが、これには設計面というより製造技術の面での工夫が大きかった」と振り返る。
こうしてまず12年に、本体幅68.5センチで業界初の600リットルを実現。これは従来品より145リットルも増量した画期的なものだった。13年には605リットルを発売、今年はついに本体幅80センチで、業界で最大容量となる705リットルを達成した。
新シリーズの特色は大容量だけではない。容量が増加した利点を生かして、いかに使いやすくて、さらに食品の鮮度を長持ちさせておいしさを保つか、ということだ。この工夫の裏には、教訓となった象徴的なエピソードがあった。11年当時の冷蔵庫には、「回るん棚」と呼ばれる機能が搭載されていた。