各章ごとに違う悩みを抱えた客がやってくる、オムニバスのような構成。「最初から最後まで、手をかえ品をかえアイデアを投入した。各章ごとに長編が書けるぐらいのドラマになったと思います」
美人で飲んだくれ、ぐうたらでなおかつ金にがめつい。破天荒だがどことなく憂いを帯びた霧子のキャラクターが、物語の魅力の一つだ。「絶対に癒してくれなさそうな人の方が面白いかなって(笑)」。癒し屋という発想もユニークだ。「世の中、みんな癒しを求めている。ここで書きたかったのは、上っ面だけでなく、根本的な部分の癒し。生き方の基本的な部分から変えていくような癒しです」
見方を変えて幸せに
今年10月に『虹の岬の喫茶店』を原作にした映画『ふしぎな岬の物語』が吉永小百合主演で公開。来年にも『ライアの祈り』の映画化が予定されている。「映像にしやすい、というのは結構言っていただけますね。書くときにも、それは意識している。風景、匂い、風…まるでその場にいるような気持ちになれるように、丁寧に書いています。読者の頭の中で映画化してほしいんです」