ゆえにカーテンコールはそれぞれちぐはぐの出で立ちとなるのだけれど、勘九郎さんはやっぱり2人とも大立ち回りには加わるべきなんだと言う。全くその通りだとその美意識に大いに同感したものの、衣裳は勿論、このただでさえ大変な大立ち回りにここから急にどう加えるのだろうと冷や汗をかく間もなく、新悟くんも「わかりました」とすぐに加わり、いてうさんもその場でどこの場面に入れるかを検証しつつ、稽古を進めた。衣裳部には元々少しは耳に入れておいたのかどうなのかはわからないが、その日のうちに用意されたように思う。座長ならではの目線を備えた勘九郎さんに、串田さんはうっすらと涙を浮かべながら、昔はああいうことを勘三郎さんが言ったんだよ、と私の肩を叩いた。
公演重ねるごとに進化
座長のこの決断はカンパニーをより屈強にしたのではないだろうか。現在どれだけ困難な状況であろうと華々しい初日のイメージができている座長の風格は士気を高める。七転八倒しながら作り上げた大詰めの大立ち回りは果たして賛否両論を受けながらも、その魂は燃え続け、公演を重ねるごとに進化した。進化は安定を招くため常に前進と相成ったかどうかはわからないが、危うい到達点を目指し続けたことは事実である。