【国際政治経済学入門】
「帰りなんいざ、田園まさに蕪(あ)れなんとす、何ぞ帰らざる」(陶淵明の「帰去来」から)
「タダ同然で住めるよ」
お盆休みに久方ぶりに古里に帰った。高知県の山間の小さな町で、清流も山々の緑は昔のまま。竹馬の友や縁者から「こちらにはだれも住んでいない田舎家が一杯あり、タダ同然で譲り受けられるし、改装したら快適に住めるよ」と勧められる。陶淵明の漢詩を思い浮かべながら、さっそく探索。
谷あいの集落に入ると人気というものをまるで感じない。立派なつくりの知り合いの旧家も目に入ったが、これも無人。そこに移り住んだとしよう。生活の足は、となると自分で車を転がして狭く曲がりくねった町道を走らせて片道30分の国道沿いのスーパーまで行かなければならない。と考え込みながら、いくつ目かのカーブでハンドルを切ると、レンタカーの脇腹がガリッ。ひしゃげたガードレールの突起部分に気付かなかった。