南シナ海のほぼ全域に「固有かつ論争余地のない主権を有する」と主張する《九段線ドクトリン》はじめ《東シナ海での防衛識別圏設定》や《執拗な対米サイバー攻撃》など…。7月の米中戦略・経済対話で米国側は各問題の善処や、人民元相場の規制を緩め、変動幅を拡大するよう求めもしたが、中国はいずれも突っぱねた。米国の堪忍袋の緒は切れ、一時的にせよ夢が覚めた。中国が米国に盛んに持ち掛けていた「新型大国関係構築」は当分遠のいた。「カネの切れ目が縁の切れ目」となる対中貿易国も増えている。
意外にも、中国にだって韓国以外に「お友達」はいる。インドと宗教・国境・核など、多くの問題で根深く対立するパキスタン。中国も国境・核、そして地域覇権でもインドと争点を抱えており「中国の敵はパキスタンの敵」(当時のパキスタン内相)。「対中関係こそ外交の柱で、両国関係はヒマラヤより高く海より深い」(当時首相)とまで持ち上げる。実際、パキスタンは1963年、国境紛争が未解決であるインドの頭越しに、中国と国境協定を締結。悪名高き89年の天安門事件時も中国を支持した。
中国も65年の印パ戦争に際し、パキスタンの後ろ盾となった。そればかりか、核開発援助に加え、各種ミサイルやレーダーを供与。パキスタンに戦車や機関銃の合弁兵器工場を建設し、戦闘機の共同開発まで行う。中国は、パキスタンの港湾を通信傍受=艦船監視やエネルギー輸送に向けた補給の拠点として運営してもいる。