雨晴(あまはらし)海岸から見た女岩。名前に反して、残念ながら雨に煙っていた。まわりの小さな岩と合わせると、母子のように見えることから「女岩」と呼ばれるようになったという=富山県高岡市(井浦新さん撮影)【拡大】
大澤氏は「鋳ぐるみ」という技法で鋳型にステンレス線や銅線を埋め込み、火や水、宇宙などを表現している。鉱物は独特の物質感を持つ。掌に乗るような小さな鉱物を見ていると、きらめく光の粒が宇宙の星のようにも思えてくる。地球は大きな宇宙の一部で、鉱物は地球の構成要素。ミクロとマクロの世界を行ったり来たりできる魅力的な素材だ。その物質感と「鋳ぐるみ」の技法、大澤氏の作品テーマがぴたりと重なっていることに驚いた。
安土桃山時代末、金屋町に呼び寄せられた7人の鋳物師の中に「般若」という名字があった。般若保氏は彼らの子孫にあたる。昔ながらの工法で一つ一つ手づくりする鋳物のエキスパート。高岡では鍋・釜・鋤(すき)・鍬(くわ)などをつくっていた鋳物師とは別に、江戸時代中期に仏具師による唐金鋳物が発達し、技術の幅が広がった。一人一人が作家であり、職人でもある。複数の鉱物を交互に流し込み、不思議な混じり合いを見せる「吹分(ふきわけ)」という技術を極めている。技術力の高さから、全国から仏像や茶釜などの修繕を求める声が絶えない。般若氏の工房にいると、鋳物が現代の生活のなかに息づいていることが伝わってくる。