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【日本遊行-美の逍遥】其の十二(高岡・富山県) 雨に煙る雨晴海岸 義経も見たか (4/5ページ)

2014.9.2 18:50

雨晴(あまはらし)海岸から見た女岩。名前に反して、残念ながら雨に煙っていた。まわりの小さな岩と合わせると、母子のように見えることから「女岩」と呼ばれるようになったという=富山県高岡市(井浦新さん撮影)

雨晴(あまはらし)海岸から見た女岩。名前に反して、残念ながら雨に煙っていた。まわりの小さな岩と合わせると、母子のように見えることから「女岩」と呼ばれるようになったという=富山県高岡市(井浦新さん撮影)【拡大】

  • 作品の原型を土で型取りする。粘土に和紙の繊維をまぶした土で覆い、そのあと川砂と山砂と粘土を混ぜた土をかぶせる。「外型づくり」と呼ばれる作業をする大澤光民(おおざわ・こうみん)氏=2014年8月9日、富山県高岡市(井浦新さん撮影)
  • 「鋳ぐるみ」という技法で、地金にステンレス線や銅線を埋め込み、火や水、宇宙などを表現する=富山県高岡市(井浦新さん撮影)
  • 固まった中子砂型をロクロで削り、形の微妙な調整を行う。完成形を予想しながらの作業には、鍛練と経験とが求められる=2014年8月10日、富山県高岡市(井浦新さん撮影)
  • 般若保(はんにゃ・たもつ)氏(右)の工房にて、砂型鋳造製法で中子砂型をつくる作業中。砂を込めたら空気を抜き真空にして固める。息子さんの般若泰樹氏(左)も伝統工芸士として活躍しており、未来に向けて技が継承されている=富山県高岡市(井浦新さん撮影)
  • 富山県高岡市
  • 俳優・クリエイター、井浦新(いうら・あらた)さん(本人提供)

 ものづくりを支える秘訣(ひけつ)を尋ねると、大澤氏からは「魂を込める」、般若氏からは「真面目に取り組む」という言葉が返ってきた。鍛錬を積み、成熟した工芸士の言葉は、簡潔さゆえに深みを増す。

 日本には連綿と続く金属器の歴史があり、美の秘密はその起源に宿っている。奇をてらったり我を張るのではなく、ほかならぬ実直な営みがその美を引き寄せるのだと、両氏の言葉は語っているように感じた。(写真・文:俳優・クリエイター、京都国立博物館文化大使 井浦新(いうら・あらた)/SANKEI EXPRESS

 ■いうら・あらた 1974年、東京都生まれ。代表作に第65回カンヌ国際映画祭招待作品「11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち」(若松孝二監督)など。ヤン・ヨンヒ監督の「かぞくのくに」では第55回ブルーリボン賞助演男優賞を受賞。

 2012年12月、箱根彫刻の森美術館にて写真展「井浦新 空は暁、黄昏れ展ー太陽と月のはざまでー」を開催するなど多彩な才能を発揮。NHK「日曜美術館」の司会を担当。13年4月からは京都国立博物館文化大使に就任した。一般社団法人匠文化機構を立ち上げるなど、日本の伝統文化を伝える活動を行っている。

ガイド:井浦新さんのトークショー 「古くて新しい京都の魅力」

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