次々と革命的なコレクションを発表し、「モードの帝王」とたたえられたフランスのファッションデザイナー、イヴ・サンローラン(1936~2008年)。彼の名をそのまま映画のタイトルに冠した「イヴ・サンローラン」(ジャリル・レスペール監督兼共同脚本)は、彼の華麗なるキャリアの裏に隠された人生の影の部分に光を当てた伝記ドラマだ。
主演のピエール・ニネ(25)は、作中のサンローランが本人にまるでうり二つと話題となったことに言及し、「僕自身は似ていると意識したことがありません。パリで行われたあるパーティーの席上、参加者の一人から1度だけ『君は似ている』とずばり言われたことはあります。でも、彼はひどく酔っぱらっていたので、僕は気にも留めていませんでした。僕にサンローラン役のオファーがあったのはその3年後のこと。彼は慧眼(けいがん)の持ち主でしたね」と懐かしそうに振り返った。