そこまで自分を追い込んだのは、「18歳の青年時代から、次第にアルコール、薬、セックスのとりことなっていく、見るも痛々しい46歳までのサンローランを、年代ごとに演じ分けなければならなかったから」。あまりに役作りにのめり込み過ぎた結果、最後には自分の演技を客観視できないほどサンローランに一体化できたという。
映画学校の教師を父に持つニネは、幼少時から演劇に興味を示し、演劇学校へ通った。11歳で初舞台を踏み、21歳のとき、史上最年少でパリの国立劇団「コメディ・フランセーズ」の準座員になった。舞台で培った演技経験は、後に進出した映画、特に「イヴ・サンローラン」での役作りで役立ったそうだ。「若くして僕は舞台で古典作品の大役を任せてもらいました。それらはとても複雑な人物像で、フランスの映画界が若い俳優にオファーする役どころをはるかに超えたものでした。僕は役作りのメソッドや演じ方はすでに分かっていました」