首相が谷垣氏に白羽の矢を立てた最大の理由は、晩秋に迫る消費税率再引き上げの判断を容易にするためだ。
首相は、消費税率を法律通り来年10月に10%に引き上げるかどうかを、今年11月末から12月にかけて判断する。しかし日本経済は4月に消費税率を8%へ引き上げた後遺症から立ち直っておらず、再増税への環境は厳しい。加えて今夏は天候不順が響いてデパート売上高などが伸び悩み、首相が再増税の判断材料とする7~9月期の経済指標も悪いとの観測が広がっている。
首相が既定方針通りに増税すれば、さらなる景気の冷え込みを招くのは必至。かといって引き上げを見送れば、自民党内の財政再建派から猛反発を受けるのは避けられない。首相にとってはどちらの決断をしても、政権運営に大きなダメージを受けることになる。
万一増税見送りとなれば、批判の先陣に立つのは、自民党総裁として、民主党政権の野田佳彦首相と公明党の山口那津男(なつお)代表の3氏で、増税の「3党合意」を結んだ谷垣氏にほかならない。数人の自民党重鎮は、見送りの事態も予測して、谷垣氏に「首相と距離を置け」とアドバイスしていた。仮に谷垣氏が閣内に入り増税見送りを黙認すれば、谷垣氏の政治生命に重大な影響が出るからだ。