原発の事故原因を引き続き調査している原子力規制委員会の田中俊一(しゅんいち)委員長(69)は「危機的に追い詰められた状況で、吉田氏がどういう判断をしたのか、割合本音が出ているとしたら、どこか将来に生かすべきなのか、非常に関心がある」と話した。
規制委は、今月10日に「合格証」を交付した九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県)を含めて計13原発20基を審査している。大規模な地震や津波に施設が耐えられるかなど設備面での審査に集中しており、現場の作業員がどう考えてどう動くべきかなど、ソフト面での審査は必ずしも十分でない。
吉田調書には、事故時の現場の“感覚”が極めて細かく記録されている。ある電力会社の幹部は「事故時の訓練は常にやっている。しかし本当に自らの命と周囲の危機が迫っているときに作業員がどう動くか、机上では計り知れないものがある」と話し、吉田調書の解読を進めることを示唆した。吉田氏が明らかにした教訓をどう読み取るべきか、事業者とともに、原発の本格的な再稼働が近づく国全体が直面している課題である。(SANKEI EXPRESS)