中国側の反応に、台湾側は一転して火消しに転じた。大陸委員会や調査局は直ちに「中国のスパイだと言ったことはない」と報道を否定。対中交渉の窓口機関、海峡交流基金会(海基会)の林中森理事長(69)は25日、中台関係は「わずかな波乱で影響を受けない」と、事件の影響を否定。馬総統も28日、中台関係を大樹に例えた上で、「木に害虫がいるのを発見したら取り除かなければならない」と捜査に理解を求めた。
「破局したに等しい」
だが、張氏の失脚が、「わずかな波乱」に止まるとの見方は少ない。張氏は立法委員出身で、馬総統の政治任用で2012年2月、大陸委員会の副主任委員に就任。今年2月からは、海基会のナンバー2に当たる秘書長も兼任して政治・実務双方の調整役も務めてきた。
馬政権は8月末、海基会の女性副秘書長を張氏の後任に昇格させたが、この女性は昨年2月に海基会に入ったばかりで、報道では「新人」扱い。台湾の時事雑誌「壱週刊」は9月4日号で、今後の中台交渉は「一字一句に政治的意味が含まれる」ため、経験不足の人物では「重要な協議は達成できない」とする経験者の見方を紹介している。