鎌倉は三方を山に囲まれている。それはまあ、その通りなのだが、丘と呼んだ方がいいのではないかという説を唱える人もいるほど山の高さは低い。鎌倉アルプス最高峰の大平山でも標高は159メートルだ。
ただし、山は高ければいいというものではない(と思う)。それが証拠に…秋のスーパームーンも低い山のおかげでひときわ赤く、見事ではないか。
スーパームーンは月と地球が接近し、通常の満月より大きく見える現象だ。今年は7月12日、8月10日、そして写真の9月9日と計3回もあった。
9日はあいにくの薄曇りだったが、その分、幻想的でもある。手前は海、そして、材木座の名刹(めいさつ)、光明寺本堂の大屋根も心なしか小さく見えるスーパーぶりをごらんいただきたい。
こうやってゆっくり月を愛でることができるのも市街地の建物の高さが抑えられ、視界を遮るビルが少ないおかげだろう。月は山の端から顔を出す頃が最も赤い。次第に黄色に変わっていき、夜空に高く輝く頃にはほぼ白色に近くなる。
8年前に東京から鎌倉に転居して以来、空を見上げる機会が増えた。個人的な話で恐縮だが、夜空に関しては実は、ひそかにショックを受けていることがある。北斗七星が見つからないのだ。どうしてなのか。