【ソーシャル・イノベーションの現場から】
日本が世界に誇る伝統芸能の一つに「人形浄瑠璃・文楽」がある。海外公演での人気は絶大で、2013年のマドリード、ローマ、パリの興行では、「日本の人形劇は他に類をみないほど素晴らしい」と、行く先々で人々を魅了したという。一方で、外国人から文楽の魅力について尋ねられたら、一体どのくらいの日本人が自信を持って語れるだろうか。一度も見たことがないという人も少なくないだろう。
文楽は、ユネスコの無形文化遺産にも登録されている日本の宝である。日本財団は、その魅力をもっと国内で知ってもらおうと、新たなプロジェクトを始動させた。その名は「にっぽん文楽」。8月27日に、東京の六本木ヒルズでプレス向けのプレビューイベントが行われ、プロジェクトの概要が発表された。約1億円をかけて製作される総ひのき造りの本格的な移動式組み立て舞台が、20年の東京五輪まで全国各地を回る計画だ。「文楽を見たことのない人も、ファンの人も、その魅力を発見する機会になるに違いない」と関係者の期待は大きい。