主人公のティム(ドーナル・グリーソン)は21歳の誕生日に、父親(ビル・ナイ)から「お前にはタイムトラベルの能力がある」と知らされる。半信半疑で父親の言う通りの手順を踏むと、本当に過去へ戻ってしまう。この特殊な能力を乱用して、過去にしでかした数々の失敗を帳消しにしていく中で、メアリー(レイチェル・マクアダムス)と出会い、一目惚れ。タイムトラベルを有効活用してアプローチを試み、やがて2人は結婚する。子供たちに恵まれ、弁護士の職も得て、堅実に家庭を築いていく中で、ティムは本来は一度しか流れない時間のかけがえのなさに気づき始める。
脚本にタイムトラベルの要素を盛り込んだため、本作はSFのジャンルにも紐(ひも)づけられるものとなったが、実際、その作風といえば、ごく普通の日常生活に優しいまなざしを向けた、いかにも穏やかなものだった。「私がタイムトラベルを利用したのは、あくまでも物語をより面白くするための工夫に過ぎません。作品のメッセージが『毎日、普通の生活を送ることが一番の幸せ』と、あまりにシンプルなものでしたからね。自由にタイムトラベルできる人間がメッセージの大切さに気付くところが、皮肉めいていて面白いんです」