治安はあまりよくないが、アルゼンチン人はいたって陽気で、ラテン気質のヨーロッパ人といった印象。気取らず気さくなので、話しかけやすかった=2013年4月19日、アルゼンチン・首都ブエノスアイレス(緑川真実さん撮影)【拡大】
先住民の国ボリビアからアルゼンチンに入る。街並みは整然とし、すれ違う人々はみな白人で、国境を越えるとまったくの“異国”があった。「南米は広い」とつくづく感じる。
たとえば長距離バスひとつとっても、国民性の違いは歴然としている。ホラーやアクションなど、極端な趣味の映画ばかり流れていたボリビアと比べ、アルゼンチンでは社会派映画が断然多くなった。もちろん、映画のチョイスにわざわざ口を挟む乗客もいない。おいしい食事もついてくる。下世話な話だが、車内のトイレに便座とトイレットペーパーも設置され、きちんと水も流れた。バス移動が快適になったのはいうまでもない。
一気に先進国に来た気分だが、気になっていたことが一つあった。それが首都ブエノスアイレスの「治安」。事前情報だと、すりなどは日常茶飯事だという。リマで出会ったブラジル人カップルは、ブエノスアイレスの高級日本料理店で食事中、椅子にかけていたバッグを、スーツを着た一見上品そうな、老年の白人男性に盗まれたと話していた。