【佐藤優の地球を斬る】
米軍が9月22日に、シリア領内のイスラーム教スンニー派過激組織「イスラーム国」の占拠する地域に対して空爆を開始した。ロシアは米国の軍事行動に対して、極めて批判的だ。それは、米国がこの機会を利用して「イスラーム国」のみならずシリアのアサド政権の打倒を目指しているのではないかという疑いをロシアが持っているからだ。露国営ラジオ「ロシアの声」は30日、こう報じた。
米の打倒計画懸念
<中東研究所のエヴゲーニー・サタノフスキー所長は、テロ対策と並行して、米国は長年計画していたアサド政権の転覆を実現させる意向であると思われると指摘し、次のように語っている。
「米国は、アサド大統領の打倒、シリアにおける政権交代という考えを放棄しなかった。問題は、『イスラム国』に対する地上作戦と、アサド軍に対する攻撃を区別するのは不可能だということだ。現米大統領が、いつどのような指示を出すのか分かる人は誰もいない。」