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【タイガ-生命の森へ-】猟師と動物たちの「庭」 (3/4ページ)

2014.10.6 17:20

ウスリータイガを風のように歩くウデヘの猟師、ヤコフ・カンチュガ=ロシア・クラスヌィ・ヤール村(伊藤健次さん撮影)

ウスリータイガを風のように歩くウデヘの猟師、ヤコフ・カンチュガ=ロシア・クラスヌィ・ヤール村(伊藤健次さん撮影)【拡大】

  • ビキン川で捕れたサケを干す。魚が遡上できる川あってこその風景だ=2013年10月5日、ロシア・クラスヌィ・ヤール村(伊藤健次さん撮影)
  • 生サケは手際よく切り分けられスープや焼き物に=2013年10月5日、ロシア・クラスヌィ・ヤール村(伊藤健次さん撮影)
  • 頭もむだにしない。鼻先やゼラチン質の氷頭(ひず)はごちそうである=2013年10月5日、ロシア・クラスヌィ・ヤール村(伊藤健次さん撮影)
  • 軒下の唐辛子が秋の深まりを告げる=ロシア・クラスヌィ・ヤール村(伊藤健次さん撮影)
  • ロシア・クラスヌィ・ヤール村

 サケにとっては湧き水のある上流で産卵し、次の世代へ生命のバトンを渡すための本能だ。しかし上流に住む人にとっては、海で育ったサケの群れが厳しい冬を前に“お土産”を背負ってきてくれるようなもの-。自然からの最高の贈り物であり、家を離れた子供が大きくなって里帰りしてくれたような、心うれしい出来事なのである。

 初めてヤール村を訪ねた8年前、前述のヤコフは、村まで遡上するサケが激減したと嘆いていた。当時、アムール川上流の化学工場で爆発があったことや、下流での捕り過ぎが原因ではないかと彼は疑っていた。そしてはっきりと原因がつかめないことがさらに未来への不安を募らせていた。僕が北海道では下流のウライ(漁獲施設)やダムで産卵場所までたどり着けるサケが少ないこと、上流の産卵適地が河川改修で狭まっていることを話すと、非常に驚いていった。

 「この土地が人の体なら、川は森と海をつなぐ血管だよ。水の流れと魚の行き来をせき止めるダムは決して造ってはいけない。今からでもすぐ取り外した方がいい-」

 上流でサケを待つ人にとって、秋にサケの群れが現れないことは恐怖である。海から離れた内陸であればあるほど、長い血管は健全に保たれなければならない。僕はヤコフが忠告してくれた時の真剣な顔を今でも忘れられない。

森と川と海とが連鎖した大きな生命の輪

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