サケがまた村までぼちぼち戻ってくるようになり、こうして乾燥小屋にぶら下がる姿をみるとほっとする。
こんな風景がいつまでも続いてほしい。サケは食料である以上に、この土地が内包する生命力そのものだ。北海道であれウスリータイガであれ、サケの味わいには、森と川と海とが連鎖した大きな生命の輪に、わずかでも加わった嬉(うれ)しさが含まれているのだと思う。(写真・文:写真家 伊藤健次/SANKEI EXPRESS)
■いとう・けんじ 写真家。1968年生まれ。北海道在住。北の自然と土地の記憶をテーマに撮影を続ける。著書に「山わたる風」(柏艪舎)など。「アルペンガイド(1)北海道の山 大雪山・十勝連峰」(山と渓谷社)が好評発売中。
■ビキン川のタイガ ロシア沿海地方に広がる自然度の高い森。広葉樹と針葉樹がバランスよく混ざっており、絶滅に瀕(ひん)したアムールトラをはじめ、多様な種類の野生動物が生息している。