どこかおこがましくて
父が残した空知の農園を継いで、兄のアオ(大泉洋)はワインを造り、年の離れた弟のロク(染谷将太)は小麦を育てていた。アオは音楽家の夢破れて故郷に帰ってきたものの、なかなか理想のワインにはたどり着けない。そんなある日、真っ赤なワンピース姿の謎の旅人、エリカ(安藤)がキャンピングカーで乗りつけ、農園の前で大きな穴を一心不乱に掘り始める。不思議な魅力を放つエリカは、アオとロクの穏やかな日常に少しずつ変化をもたらしていく。
アオやロクに劣らず「何かモノを作っていないと、基本的に落ち着かない」と安藤。すでに高校時代、小説を執筆していたし、「将来、映画を作ってみたい」との思いも募らせていた。大学に進学後、映画界へさまざまにアプローチするも実を結ばず、むしろ、思いがけず始めた音楽活動の方が世間に求められるようになって、結果的に仕事になった。以来、安藤は「映画に携わるのはどこかおこがましくて…。自分にできないだろう」と折り合いをつけた。
東日本大震災のすぐ後、体調を崩した祖母が急逝したことを受け、映画への消極的な姿勢に変化が生まれた。「自分が子供を宿していたこともあって、人の生死に関心を持ち『自分が死ぬまでに何をしたいのか』を強く意識するようになりました。書きかけの小説や、携わりたかった映画の仕事。怖がらずに挑戦し、恥をかいてから死ねばいいのではないか」