長い芸能生活では常に新しいことに挑戦してきたつもりだが、気がつけば時代劇映画への出演は浅田次郎原作の「柘榴坂(ざくろざか)の仇討(あだうち)」(若松節朗(せつろう)監督)が初めてだった。そんな広末(ひろすえ)涼子(34)は時代劇の大ファン。特にテレビドラマの「水戸黄門」や「大岡越前」といった勧善懲悪の世界にどっぷりと浸り、爽快な気持ちになることを楽しんできた。「事件が勃発しても、最後は必ず正義が勝つんですよ。現代のヒーローものの作品に似ていますよね。構成も含めて私は小さい頃から時代劇が大好きでした」
複雑な人間ドラマ
ただ、「柘榴坂の仇討」に関しては、善悪の判断を付けにくい登場人物たちの複雑な心のありようを描いた人間ドラマだ。広末は「確かに武士道やおとこ気がメーンに描かれているはずなのに、脚本を読んでいても『これは時代劇だ』という明確なイメージが持てませんでした。だからこそ広い世代にこの映画を見てもらえると思います」と期待を膨らませた。