幕末は1860(安政7)年、主君・井伊直弼(中村吉右衛門)の“用心棒”として仕えていた彦根藩士、志村金吾(中井貴一)は、あろうことか桜田門外で井伊暗殺を許してしまう。国元の両親は自害。金吾は切腹が許されず、あだ討ちを命じられ、時代が明治へ移ってもなお刺客を探し続ける。やがて金吾はかつての水戸藩浪士で、今では車引きの直吉と名を変えて東京で生きていた佐橋十兵衛(阿部寛)を見つけ出す。だが、明治政府があだ討ち禁止令を出したばかりだった。
指導「厳しく」懇願
広末が演じたのは、東京の食事処で給仕として働き、文句一つ言わずに食い扶持のない夫、金吾を支え続ける妻、セツだ。若松監督からは「泣くな。涙は最後までとっておきなさい。いつもりんとしたたたずまいの強い女性でいてほしい」と強く要望されたのはいいが、撮影を前に広末はセツの所作に自信がなく、きちんとこなせるのか心配でならなかったため、指導担当に「厳しくお願いします」と懇願した。