東日本大震災で大きな被害に遭った岩手、宮城、福島の3県では、がれきの中から見つかった写真や指輪など、今も数多くの拾得物が保管されている。持ち主が分からなかったり、判明しても連絡がつかなかったりするためだ。「いつか返せる日が」。各機関は期待を捨てていないが、震災から3年7カ月がたち、返却は滞っている。
「処分できない」
各県警は貴金属や通帳など主に有価物を保管する。これまでに扱った総数は岩手県警が約3万1500点、福島県警が約1万4000点、宮城県警も推定で1万点以上。しかし、8月時点で3県警合わせて1万点以上が返却できていない。
返却が滞り始めたのは、震災から1年を過ぎたころから。これまで約2万4700点を返却したり、市町村に引き継いだりした岩手県警だが、直近1年半での返却数は約500点と、ペースは目に見えて落ちている。
拾得物にはイニシャルだけ刻まれた指輪のように、手掛かりがほとんどない物も。原則3カ月を過ぎれば、各県警の判断で処分できるが「遺品か、思い出の品と思うと処分できない」(福島県警)と、3県警とも当面は保管を続ける方針だ。