和辻の没後、今度は川喜多夫妻が建物を鎌倉に移築し、アラン・ドロンやフランソワ・トリュフォー監督ら内外の映画人が訪れた際のゲストハウスとして使われていたという。
一般公開とはいえ、建物の保存のため、入れるのは土間までだった。そこから上がった居間の様子は写真でごらんいただこう。部屋の隅には囲炉裏(いろり)が切られ、畳の室内に椅子(いす)とテーブルが並んでいる。和洋折衷のこの配置も、外国からの客人を日本情緒豊かに迎えようという夫妻の「お・も・て・な・し」の心の再現だろう。
≪愛用の筆に感謝を込めて≫
ざわざわと梢(こずえ)を吹き抜ける秋風とともに、鎌倉の芸術の季節も深まりを見せている。日がぐっと短くなり夕闇の訪れが早い。台風19号の進路を気にしつつも鎌倉市二階堂の鎌倉宮では、10月10日(金)と11日(土)の2夜、第56回鎌倉薪能(たきぎのう)が開催された。
台風が接近して、なぜか肌寒かった体育の日の13日を除けば、10月の3連休はこれ以上は望めない秋の行楽日和だった。