日米の実質賃金推移<2008年9月~2014年9月>=※2008年9月=100、※データ:CEIC【拡大】
米国の場合、リーマン後実質賃金は急落したが、2010年初めに底を打ち、その後はよたよたしながらも、着実に上昇し続けている。力強さはないが、12年初めにはリーマン当時の水準を上回った。連邦準備制度理事会(FRB)による量的緩和政策は物価下落の慢性化を防ぎ、緩慢ではあるが、雇用情勢の回復に寄与し、物価上昇率を上回る賃上げ率を実現した。「大恐慌」の再来を阻んだと言ってよい。
対照的に、日本は10年前半に少し回復したが、リーマン当時の水準を下回ったまま、緩やかな下落基調が続いた後、13年後半から下落速度が増し、14年4月の消費税増税後、下落が加速した。リーマン後、日銀は量的緩和政策を取らず、円高・デフレ容認を続けたために、実質賃金水準は停滞し続けた。12年12月に発足した第2次安倍晋三内閣がアベノミクスを打ち出し、日銀は2%のインフレ目標を導入して、4月からの異次元金融緩和政策によって円安に誘導して、物価上昇率を1%台に押し上げた。ところが、名目賃金が上がらないために、実質賃金は下がる。それに消費税率引き上げによって、物価上昇率は一挙に3%台半ばに押し上げられたために、実質賃金が急落して現在に至る。米国と比較すれば、日本の金融、財政両面の政策の誤りが実質賃金下落をもたらしたと断じるしかない。