先月、この定期観光バスのコースの一部を体験した。金沢を出発して最初に立ち寄るのが、コースのハイライトともいえる「千里浜(ちりはま)なぎさドライブウェイ」(宝達志水町=ほうだつしみずちょう、羽咋(はくい)市)。日本で唯一の波打ち際に設けられた8キロの道路で、バスやバイク、自転車も自由に走ることができる。踏み固められた砂は歩きやすく、海風を受けながらの散策はとても気持ちがいい。
この道が誕生したのは、工事車両のダンプカーが砂浜に入っていくのを見て、回送のバスを試しに走らせたところ、砂にタイヤを取られることなく走れたのがきっかけだった。ただ、海岸線は波によって1年に約1メートルも浸食され、数十年後には海岸が消滅してしまう可能性もあるという。
次に訪れた気多(けた)大社(羽咋市)は、多くの「気」が集まる能登一の宮。数々の試練を乗り越えて恋を成就させた大国主命(おおくにぬしのみこと)が祭られ、縁結びの神社として女性に絶大な人気を誇る。神殿の背後には、1万坪の原生林「入らずの森」が広がり、一歩足を踏み入れると空気が一変するのが感じられる。