北朝鮮による拉致被害者らの再調査の現状確認のため、政府の調査団が27日、平壌入りする。現時点での訪朝に反対してきた被害者家族は複雑な思いで見つめる。長年北朝鮮と対峙(たいじ)し、裏切られ続けた経験から、北朝鮮からの誘いによる訪朝を「危険」と感じているからだ。ときに政府に思いが届かないことにもどかしさを感じながら、わずかな希望を胸に結果を待つ。
北の狡猾さ危惧
「長い間、北朝鮮にだまされ、失敗した経験がある」。被害者の家族会が、調査結果の報告を受けられる時期まで訪朝を待つよう政府に申し入れた背景について、田口八重子さん(59)=拉致当時(22)=の兄で家族会代表の飯塚繁雄さん(76)はそう説明する。
2002年9月の日朝首脳会談では被害者5人の生存が分かり、04年5月の2回目の首脳会談では被害者の子供計5人が帰国を果たした。だが成果の一方で、日本はだまされ続けてきた。