「卵がほほ笑む」という表現がうなづける絶品の「カルボナーラ」。ベーコンではなくグアンチャーレ(豚のほほ肉の塩漬け)を使うなど、細部にもこだわり抜いている=2014年10月10日、京都市下京区(恵守乾撮影)【拡大】
というわけで、早速、11月と12月のメニューから自慢の逸品をいただいた。
まずは「季節のお魚のタルタル」。「鴨とネギにオリーブという組み合わせに感じた味の深みが印象的で、それを応用してみた」(野呂シェフ)というが、マグロと九条ネギと黒オリーブの組み合わせは確かに深みがあり、日本人の味覚にもぴったり。あっさりしていながら食べ応えもある。
卵ほほ笑むカルボナーラ
そして驚きの看板料理が「カルボナーラ」だ。一般的にカルボナーラといえば、卵の味よりも生クリームや牛乳が醸すうま味や濃厚さが全面に出るものだが、このカルボナーラは全く違っている。卵そのものが持つ滋味深い味わいや滑らかさだけで成立しているのだ。こんな上品なカルボナーラは初めてだ。
「使っているのは卵黄にコクや粘度がある京地卵で、コクとうま味が最大限引き出され、味に輪郭が出るギリギリまで火を入れるんです」と野呂シェフ。
「この手前だと卵和えで、これを過ぎると卵そぼろに成り下がります。そのギリギリが一番おいしいわけで、分かりやすく言うと、卵がわれわれにほほ笑んでくれる状態ですね」