衝撃はこれから
ただ、今回のFRBの決定は未曽有の金融緩和を元に戻す序章にすぎず、事実上のゼロ金利政策を解除し、利上げを始める際の衝撃は計り知れない。国際通貨基金(IMF)は、米利上げ開始で金融市場が急変動すれば「世界全体が保有する債券に総額3兆8000億ドル(約410兆円)超の損が生じる可能性がある」と試算する。
「必要に応じて適切な金融政策を取ることを躊躇(ちゅうちょ)しない」(日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁)、「リスクに対応するため追加手段を講じることで理事会は一致している」(欧州中央銀行のマリオ・ドラギ総裁)。米国が金融引き締めを模索するのに対し、日欧は追加の金融緩和に言及する正反対の姿勢も市場の波乱要因だ。
IMFのクリスティーヌ・ラガルド専務理事(58)は先進国の中央銀行の足並みが乱れ、金利や為替の動きを不安定にすると警戒。「世界経済を覆う深刻な暗雲となっている」と懸念を隠さない。