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安倍首相が、プーチン氏との首脳会談で個人的な信頼関係の維持に腐心するのは、日露関係の冷え込みに歯止めをかける思惑からだ。プーチン氏の早期来日実現や北方領土交渉の進展につなげる狙いだが、日本が外交の基軸とする同盟国・米国はロシアに強硬姿勢で臨んでおり、対米配慮とどう両立させるかが課題となる。
一方、プーチン氏には、安倍首相との会談で、日本との経済連携強化を引き出し、停滞する景気対策や極東シベリア開発などにつなげる狙いがある。同時にウクライナ問題で対露最強硬の日米のずれを露呈させ、分断を図る思惑ものぞかせる。
ロシアは石油・天然ガス輸出に頼る経済の構造改革を先送りにしたつけが回り景気が減速していたさなかに、ウクライナ危機が先鋭化した。欧米の経済制裁は徐々に効き目を表し、原油価格下落や高インフレも重なって経済は八方塞がりだ。
プーチン氏はアジア重視を一段と強め、中国とは巨大な天然ガス輸出契約を結ぶなど良好な関係を維持する。だが過剰な中国依存を防ぐため多角化も必須。経済規模の大きい隣国、日本との連携強化は喉から手が出るほど欲しいところだ。
安倍氏との良好な関係の演出は、経済面で連携を図るだけでなく日米関係にくさびを打つ意味合いもある。(共同/SANKEI EXPRESS)