経済財政諮問会議であいさつする安倍晋三(しんぞう)首相(左から2人目)=2014年11月18日午後、首相官邸(酒巻俊介撮影)【拡大】
財務省は官邸に対し、再増税を延期すれば、安倍政権の看板政策である子育て支援策が不可能になると再三、訴えてきた。財務省幹部が自民党の若手議員や大学教授はおろか、雑誌編集者など財政に“門外漢”の人にも財政健全化と消費税再増税の必要性を説いて回った結果、再増税実現に大きな手応えを感じていた。
さらに10月31日、日銀がこの日追加緩和を決め、日経平均株価は大きく跳ね上がった。黒田東彦(はるひこ)総裁(70)は元財務官で、再増税による財政再建の重要性を力説してきた経緯がある。「市場は再増税を評価している。安倍首相も無視はできない」(幹部)。財務省内には楽観ムードすら漂っていた。
しかし、結論は全く逆だった。ある幹部は「戦略ミスだった」とこぼす。経済情勢次第で増税を停止できる「景気条項」の撤廃を勝ち取ったのが唯一の収穫で、敗北感は濃い。
「次の工程勝負」
ただ、再増税は延期されたが、財政の立て直しには消費税の再増税は避けられない。消費税率を10%に引き上げても、20年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)は11兆円の赤字が残る。この赤字を消費税で穴埋めするには、さらに4%程度の引き上げが必要になる計算だ。