悦子さんは97年の中国返還前と比べ、「警察など行政機関の規律が乱れ、透明度が悪くなった」と感じている。「一国二制度といいながら言論の自由が制限され始めており、中国共産党政権の波に、香港がのみ込まれる恐怖心が抑えられなくなった」とも話した。
未来さんら学生デモ隊の街頭占拠について、「いつまで続けるべきか迷いもあるし、共産党政権がすぐに譲歩するとは思えない」と明かす。だが、「いま撤退したら何も残らない。民主化に向けて種をまいたことは事実で、未来と名付けた息子には香港の未来を守りなさい、と祈るような気持ちで話している」という。
もどかしいのは、「香港民主派デモへの日本からの関心が徐々に薄らいでいること」だ。悦子さんは「日本人は自分たちの政府を批判しても、何を言っても逮捕されない民主社会があるのが当たり前だと思っていないだろうか。(香港の民主化要求デモを見て)守り抜かねばならないものを大事にしてほしい」と訴えた。(香港 河崎真澄/SANKEI EXPRESS)