香港の民主派デモ隊数千人が、香港島中心部のアドミラリティ(金鐘)で政府本部庁舎を組織的に包囲する抗議活動に踏み込み、これを阻止しようとした警官隊と衝突、1日までに少なくとも37人が負傷したほか、学生ら40人が逮捕された。
現場では警棒で殴打された学生らが次々と血だらけで倒れ込み流血の事態となった。警官隊は催涙スプレーや放水も使用した。デモ隊と警官隊は金鐘駅から政府庁舎に通じる歩道橋でも衝突。混乱を受け政府庁舎と立法会(議会)が1日午前の執務や審議を見合わせたため、学生団体の周永康代表は1日、「政府機能まひなど一定程度は成功した」との認識を示した。
一方、この混乱とは別に、政府庁舎南側の幹線道路上に約2000のテントが張られたデモ隊最大の占拠拠点に、高等法院(高裁)は1日、占拠禁止命令を出した。梁振英行政長官は1日の会見で、「警察は2カ月も忍耐を重ねてきた」と発言し、強制排除へ法的手続きに入る意向を示した。
デモ隊は市内3カ所の占拠拠点のうち、先月26日の強制排除で九竜地区の繁華街モンコック(旺角)を失った。残る2カ所の死守を呼びかけているが、一時10万人を超えていた参加者は市民の支持や求心力を失い数千人に減っている。
一方、政府庁舎に近い中国人民解放軍の香港駐留部隊司令部の敷地内の建物で1日朝、火災が発生。まもなく鎮火し、けが人などはなかった。原因は不明。