台湾統一地方選で大勝し、気勢を上げる野党、民主進歩党の蔡英文主席(前列左から2人目)。2016年の総統選での政権交代の可能性も視野に、中国は“無視”を決め込んできた民進党との関係見直しを模索し始めたようだ=2014年11月29日、台湾・台北市(ロイター)【拡大】
これに対し、台湾事務弁公室の報道官は12月3日、「完全にデマだ」と記事を厳しく批判し、「大陸(中国)の対台湾政策に変化はない」と述べた。中国寄りの台湾紙、旺報は5日、共産党機関紙、人民日報傘下の国際情報紙、環球時報の記事を転載する形で、民進党が08年の馬英九政権成立以降、中台間の交流の基礎となっている「92年コンセンサス」を認め、台湾独立を定めた党綱領を「処理」しない限り、「北京との交流の可能性は存在しない」とするアモイ大学の研究者の見方を伝えた。
現在のところ、中国側がどの程度、民進党との接近を検討しているかは明らかでない。台湾では15日、党員ではないものの民進党の支援を受けて台北市長に当選した柯文哲(か・ぶんてつ)氏(55)と、訪台していた中国の対台湾窓口機関、海峡両岸関係協会の陳徳銘会長(65)の昼食会が直前で中止になった。中国側が事前に報道機関に情報が漏れたことを嫌気したとみられており、民進党との交流強化に向けた「心の準備」が整っていないことをうかがわせた。