台湾統一地方選で大勝し、気勢を上げる野党、民主進歩党の蔡英文主席(前列左から2人目)。2016年の総統選での政権交代の可能性も視野に、中国は“無視”を決め込んできた民進党との関係見直しを模索し始めたようだ=2014年11月29日、台湾・台北市(ロイター)【拡大】
「4つの相互」唱える柯氏
史上初めて無所属で台北市長に当選し、今やメディアで蔡氏と同等かそれ以上の注目を集める柯氏は22日、中央通信社の取材に対し、「なぜ22年前の合意を今日の議論の基礎としなければいけないのか」と「92年コンセンサス」に否定的な見解を表明。それに代わり、中台関係は「相互に認識し、了解し、尊重し、協力する」という「4つの相互」に基づくべきだと訴えた。これに対し、対中政策を主管する行政院大陸委員会の王郁●(=王へんに奇)主任委員(45)は「地方政府の首長は両岸政策について論評する必要はない」と不快感を表明したが、民進党が対中政策に正面から向き合うことを避け続けた場合、柯氏らが今後の議論を主導していく可能性も否定できない。(台北支局 田中靖人(たなか・やすと)/SANKEI EXPRESS)
■92年コンセンサス 「『一つの中国』を各自が表明する」とする中台間の共通認識で、1992年に中台の交渉機関が確認したとされる。中国が「中華人民共和国政府が中国唯一の合法政府」とするのに対し、台湾当局は「中国とは中華民国」と主張するが、中国大陸と台湾をともに「中国」とする点で、「一中一台論」や「二国論」とは異なる。