手本は独「意志の勝利」
そも、中国で起きる事象は全て「政治まみれ」。クリスマスに際し《中国の言論の不自由を守り、中国人の政治的立場をたたえる愛国映画》が上映された。ロイター通信によると、西安市の大学では《低俗な西側祭日に反対せよ/西側文化の広がりを阻止せよ》の横断幕が随所に掲揚。学生は、孔子などを題材とした3時間のプロパガンダ映画鑑賞を強要された。
《上映会場で学生の途中退席に教員が目を光らせ、鑑賞を拒むと処罰する=ロイター》中国が、ザ・インタビューを観ない自由も、批判の自由も有る米国を揶揄する奇観。もっとも、強制しないと観てもらえぬ「処罰付き映画」を作っている内は、ルトワック氏言うところの《戦略の才はない》。ただ、中国版《意志の勝利》が製作されれば脅威度は加速度的に増す。
《意志の勝利》はアドルフ・ヒトラー(1889~1945年)自身が再三にわたり懇願した結果、独女性レニ・リーフェンシュタール(1902~2003年)が監督した。1934年のナチス全国党大会を記録した映画で、レールや昇降機に設置したカメラでヒトラーら被写体をさまざまな角度で追うなど、当時としては斬新な技法や独創的表現、美的感覚は専門家をもうならせる。37年のパリ万国博覧会で金賞に輝いたが、彼女はナチスとの関係を生涯を通し指弾された。