写真家の顔も持つ永瀬正敏さん。「祖父が写真館を経営していました。でもカメラを持ち逃げされ、廃業しましてね。僕は祖父の悔しさも胸に抱いて活動しています」=2014年12月9日、東京都港区(野村成次撮影)【拡大】
本作の前に出演した映画2本の役作りで意識的に体重を落とした経緯もあり、高校野球の監督を演じるからといって、体を絞ろうとは、とりたてて思わなかった。「衣装合わせのとき、立派な体格をした共演者の若者たちに交じって、自分の姿がヒョロヒョロとやせ細っていては果たしてどんなものかなと考えました。だから、おなかがぽっこりと出るように、むしろ逆のアプローチをしました」。過酷でストイックな生活スタイルを強いられる肉体改造は皆無だったそうだ。
演じる上で永瀬が特に心を砕いたのは、取って付けたような嘘っぽい振る舞いや演出を排除することだった。永瀬は「登場人物のお孫さんや教え子たちは野球部の活躍を胸に焼き付けていて、当時のあたたかな体温は、今でも確実に残っています。そういう人たちに嘘の表現はできません」と語り、史実重視の姿勢を強調した。