写真家の顔も持つ永瀬正敏さん。「祖父が写真館を経営していました。でもカメラを持ち逃げされ、廃業しましてね。僕は祖父の悔しさも胸に抱いて活動しています」=2014年12月9日、東京都港区(野村成次撮影)【拡大】
「場外乱闘」よそに
本作は台湾金馬奨で最優秀作品賞ほか主要6部門にノミネートされ、永瀬も日本人として初めて主演男優賞候補者に名を連ねた。この映画祭をめぐっては、本作を「親日的な映画」として眉をひそめる中国側が審査員に圧力をかけ、選に漏れるよう工作した結果、不公平な審査が行われたのではないか-との疑惑が報じられ、紙面をにぎわせた。そんな“場外乱闘”をよそに、上記6部門とは異なる観客賞と国際映画批評家連盟賞に輝いた本作の魅力を冷静な語り口で説明する永瀬の姿が心地よい。
「野球がどんと真ん中にある映画です。そして、みんなであきらめないで夢に向かって進んでいこう、つらい状況でも努力すれば光が見えてくるんだ-というメッセージが、学生さんをはじめ、さまざまな職業の方に分かっていただけたんだなと感じています。台湾でこの映画はアンコール上映され、さらに上映期間が延長されたそうですよ。そんなことが起きるなんて珍しいはずです」。1月24日、全国公開。(文:高橋天地(たかくに)/撮影:野村成次/SANKEI EXPRESS)