芥川賞を受賞した小野正嗣(まさつぐ)さん(右)と直木賞を受賞した西加奈子さん=2015年1月15日、東京都千代田区内幸町の帝国ホテル(宮崎裕士撮影)【拡大】
そんな海辺の集落を舞台にした受賞作「九年前の祈り」では、幼い一人息子を抱えて郷里に戻ったシングルマザーの苦悩と救いを描く。9年前にカナダの教会で郷里の女性たちとともにささげた「祈り」が、現在の主人公の心境と重なっていく場面が印象的だ。
地元に残った3つ上の兄が昨年10月に脳腫瘍のため他界。余命を知らされ確実に迫り来る兄の死を思いながらの執筆だった。
「長い学生生活を経済的にも援助してくれ、とてもかわいがってくれた。あの『祈り』の中には、僕の兄への思いも込められているのかもしれない」。天国の兄にも、きっと吉報は届いている。(海老沢類/SANKEI EXPRESS)