また、ロンドン五輪とときを同じくしてロンドン市民にも自転車愛好者が増えた。市内の慢性的な渋滞が社会問題となっていたロンドンだが、現在は世界的屈指の自転車都市として知られている。かつては、欧州諸国の中でも自転車活用が進んでいなかったといわれているが、一般車が市内に入るときに発生する「渋滞税」を導入したり、30分以内なら無料で使用できるレンタサイクルシステムや、安全に走りやすいよう車道に自転車レーンを設置するなど、大々的な行政主導の改革が行われた。
そして市民の間で高まる健康意識や競技そのものの人気が、より一層ロンドンの自転車活用を後押しし、今や街を歩いていると次から次へと自転車が駆け抜けていく。(写真・文:フリーランスカメラマン 田中苑子(そのこ)/SANKEI EXPRESS)
■たなか・そのこ 1981年、千葉生まれ。2005年に看護師から自転車専門誌の編集部に転職。08年よりフリーランスカメラマンに転向し、現在はアジアの草レースからツール・ド・フランスまで、世界各国の色鮮やかな自転車レースを追っかけ中。