それは、イスラム国の目的がリシャウィ死刑囚の奪還ではないからだ。筆者の見立てでは、イスラム国は、後藤氏とリシャウィ死刑囚の交換という枠組みに固執し、ヨルダンの政府と国民の望むカサスベ中尉の釈放に応じないという姿勢を貫くことで、ヨルダン国民の王制に対する不満を高めようとしている。そのような手段で、イスラム国は、世界イスラム革命を推進し、カリフ帝国を建設するという戦略をもっている。
1月30日付産経新聞で中東情勢の第一人者である山内昌之氏がこう述べている。
<(ヨルダンの)アブドラ国王が直面する問題は、空軍機操縦士を生んだ東岸住民の不満をかわしながら、日本の国民と政府の要望を叶える国際信義だけではない。死活なのは、国内で民主化要求を強めるパレスチナ人の圧力を宥めながら、「次はリヤド」と呼号していたISの戦略的目標を「次はアンマン」と言わせないために内政を安定させることだ。国王が11月に来日された折に私がISについて質問したとき、“分析官”のようにパワーポイントで状況を説明された熱弁には出席者の全員が圧倒された。
日本国民としては今、ヨルダン国王と政府の誠意を信じて静かに事態を見守る他ない>