毛色は違うが、自動車のシトロエンを3分割し、中央の3分の1とエンジンを取り除いて2人乗りに組み立て直した「La DS カーネリアン」(2013年)も、自動車という「器」に働きかけた作品といえる。
シトロエンDSは1955年に発表されたフランスの乗用車。約20年間、仏車の主軸を支え、未来を紡ぐ車として人気を集めた。オロスコは「器」の形を変えることで、鑑賞者が抱いてきたDSに対するイメージを変えようとしている。
「ルール」も変化させ
自らの働きかけで、何かを変えていく手法は、ルールに対しても行われる。例えば「ピン=ポンド・テーブル」は、卓球台2台が十字に組み合わされ、台の端が丸くカットされている。さらには中央に池が設けられ、花まで浮かべられた。4人(8人?)で普通にピンポンをするのか、別な競技をするのか。池に球が入った場合、どんなルールにするのか? 見る人はさまざまな考えを巡らすことになる。