オロスコはほかにも、ナイトの駒だけで遊ぶチェス盤なども作っているが、「サムライ・ツリー20H」は、そのナイトの駒の動きを描法に転化した作品。オロスコはカンバスの中心点から4つの色を使って描き始め、斜め2マス先に進めるナイトの法則に従って展開させたという。「武士に二言はない」という、一度決めたら最後まで(描法を)貫くという精神から「サムライ」と名付けた。
「世界の循環」表現
オロスコのもう一つのこだわりが「循環」。サムライ・ツリーにも円が描かれているが、多くの作品に円や回転が登場する。
飛んでいる姿を表現するように、いくつものブーメランを壁のぐるりに貼り付け、天井に設置されたシーリングファン(扇風機)にトイレットペーパーを付けて回転させる「ベンチレーター/インナー・カット」は、ブーメランの回転とトイレットペーパーの回転が同調する。