【KEY BOOK】「ホーキング 虚時間の宇宙」(竹内薫著/講談社ブルーバックス、950円)
ホーキングものが数あるなかで、本書が一番読みごたえがある。ビートたけしの数学番組でもおなじみの竹内君は、すばらしい思考力と判断力の持ち主で、とくにペンローズに詳しい。本書は、時間の始まりぐあい、重力の陥没ぐあい、ブラックホールの蒸発ぐあいという「具合」をみごとに掴まえて、特異点理論や虚時間理論の特徴と限界を案内している。こんなに明快な宇宙物理学の本はめったにないだろう。(編集工学研究所所長・イシス編集学校校長 松岡正剛/SANKEI EXPRESS)
■まつおか・せいごう 編集工学研究所所長・イシス編集学校校長。80年代、編集工学を提唱。以降、情報文化と情報技術をつなぐ研究開発プロジェクトをリードする一方、日本文化研究の第一人者として私塾を多数開催。おもな著書に『松岡正剛千夜千冊(全7巻)』ほか多数。「松岡正剛千夜千冊」(http://1000ya.isis.ne.jp/)