【BOOKWARE】
20年ほど前、内村鑑三は『代表的日本人』という本の中でどんな日本人をとりあげたと思いますかと、大学の授業で尋ねてみたことがある。一人も答えられなかった。その4年後、NHKで『おもかげの国・うつろいの国』という8回番組をナビゲートしたときも、同じ質問を視聴者に投げてみた。反響はあったが、正答率はまことにお粗末なものだった。
内村があげた代表的日本人には、この5人にこそバプテストのヨハネに匹敵する洗礼を受けたという人士が上げられている。誰だかわかるだろうか。日蓮・中江藤樹・二宮尊徳・上杉鷹山・西郷隆盛だ。ほかにも法然・蓮如・仁斎・徂徠・宣長なども併記されていた。内村は明治を代表するキリスト者だった。その内村がこの日蓮以下の日本主義的な5人を選んだのだ。これこそきわめてグローバルな視点だった。
7年後、NTTエデュケーショナルに頼まれて、ぼくが選ぶ「新代表的日本人」をシリーズ講義仕立てのビデオにすることになった。それなら、内村や岡倉天心や新渡戸稲造をはじめとする明治の日本人の生き方や考え方を浮き彫りにするのがいい、そこに21世紀の今日にも通じる日本人の原像が浮かび上がってくるようにしたいと思った。