日本を人物史で語ることは、そんなに難しくない。けれども鍵穴を開けた人物たちと、そこに鍵を差し込んだ人物は、必ずしも一致しない。ぼくは、新たな代表的日本人たちは、これらを組み合わせられる人士たちだろうと思っている。新代表的日本人とは新たな日本人複合体のことなのである。
【BOOKWARE】「代表的日本人」(内村鑑三著/岩波文庫、713円)
この本は痛快、かつ深い。二つ、要訣がある。ひとつは、グローバルなキリスト教な視点で日蓮や藤樹や尊徳らの東洋思想を解読しているところだ。もうひとつは、内村自身が日本独特の感覚と欧米的キリスト教を融合して掴まえようとしているところだ。内村には「2つのJ」という見方があった。ジーザスのJとジャパンのJを同時に見据えて生きるという覚悟のようなものだった。内村はここに両足を踏ん張って、日本が「ボーダランド・ステート」(境界国家)になるべきだと予見した。(編集工学研究所所長・イシス編集学校校長 松岡正剛/SANKEI EXPRESS)