さっそく制作にかかり、幕末維新から起こして柳田国男・与謝野晶子・柳宗悦あたりまで仕上げたところで、NTTエデュケーショナルが解体してしまった。お蔵入りだった。残念だったが、ごく最近、そのシリーズが編集工学研究所によってDVD4枚組として蘇った。
ぼくがこのシリーズ『新代表的日本人』のなかで大事にしたことは、「菊」(天皇)と「葵」(将軍)の関係を読み切ったのは誰だったのか、日本に欧米グローバリズムを導入したのは誰だったのか、日清・日露・韓国併合・満州進出を促進してアジア外交のシナリオを書いたのは誰だったのか、そして、日本文学や日本画や日本工芸の本質を見極めたのは誰だったのか、といった問いに答えることだった。
ただし、これらは「鍵穴」なのである。いまでもこの鍵穴は沖縄基地問題や東アジア外交問題として継続されている。しかし、このような鍵穴に問題がうずくまっていると見抜くには、この鍵穴にいろいろな鍵を差し込んで問題の意味をぐりぐり深めた人物たちにも目を向けなければならない。明治期なら、たとえば兆民、たとえば蘇峰、たとえば漱石、たとえば天心、たとえば啄木だ。