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樋口一葉の「蕗の匂いと、あの苦み」 今日、11月23日は一葉の命日です 松岡正剛 (1/5ページ)

2014.11.25 19:00

【BOOKWARE】編集工学研究所所長、イシス編集学校校長の松岡正剛さん=9月14日、東京都千代田区の「丸善丸の内店内の松丸本舗」(大山実撮影)

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 今日11月23日は樋口一葉が亡くなった日だ。24歳だった。若くして比類ない才能を世に煌(きら)めかせて、慌ただしく消えていった。一葉がいなければ、与謝野晶子も尾崎翠も江國香織も、いなかったろう。しばし偲びたい。

 長谷川時雨は『近代美人伝』に「一葉は蕗(ふき)の匂いと、あの苦み」と評した。さすが時雨だ。ぴったりの表現だ。明治大正昭和の女たちの才能を一番見抜いていた時雨は、「あたしにゃどうしても書かなければならないことがあるのよ。それはね、一葉のことだよ」と言って亡くなったのである。24歳の才能はそれほど図抜けていた。

 一葉の資質は、早くも少女のころに草双紙や滝沢馬琴を読み耽っていたことに発していたようだが、中島歌子の歌塾「萩の舎」(はぎのや)で和歌と古典を習って源氏を叩きこまれたことで、さらに磨かれた。それなら、そのまま明治を代表する歌人になっていてもおかしくなかったのだけれど、家が大変になっていった。父と兄が死に、一葉は17歳で戸主となって一家を支えなければならない。本郷菊坂で母子3人の面倒を見るため、針仕事を強いられた。

龍泉寺の日々を題材に

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